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 aufheben

いち


「あたし、呪われてるんだよ?だから」
「だから?」
だから
「やめといたほーがいーよ」

本当のことを言っても最初は誰も信じない。
まあ、理解できないことを認めてくれる人はそういない。
ほとんどいない。
あれ、皆無かなー。ああ、そうかも。
今まで理解しないうちから信じてくれる奴はいなかった。
理解できるまでは、事実と直面するまでは
おおむね笑い飛ばすんだ。

いいけどね。

「あはは」
ほぉらね。
「俺さー空気読めないから、呪われてもいいから付き合ってって言っていい?」
ずきゅん。
真正面にいる小柄なといっても私と同じくらいの背丈だろう、少年はつらつらとのたまう。
むむ、ときめくことを・・
「恥ずかしげもなく・・・」
「うん。空気読めないからね」
細い目をいっそう細める。色素の薄い髪と細い目ってよくマッチしてるなあ、なんて
思ってしまった。溜め息をつく。
「空気読めない奴は、空気読めないって言わないと思うよ。ぜったい」
「ぜったいなんだ」
うつむいてくすくす笑う顔を可愛いな、と思ってしまう。
いかん。
「本当に呪われているんだよ」
「えっ、そこ引っ張るの?」
くっそー。いや、そうだよね。これが普通の反応デショ。
「もう、いいよ」
かかとをつけたまま、くるりと方向転換。
バスケットボールをやっていたときの癖でターンはいつもピボットだ。

「ちょ、待ってよ」
ちらりと背中ごしに見やると追いかけてきた。
「もういいって言ったでしょ。遠まわしに断ったと思えばいいよ。そうなのかもしれないしさ」
「え、だって・・」
とまらない。やばい。
「だから私が嘘ついているとか思ったんでしょ?私つまんない冗談言って告白とかお茶に濁すようなタイプだと思ったんでしょ?いいよ。そう思えばいいよ。そうだもん。あんたなんてだいっきらい!!!」

ひゅるるるるる・・・

がんっ

「!!!!!!!!!!」

火花が散る。
ずきずきずき・・・
おそらく、空中から現れたタライが頭を直撃したんだろう。
痛い。失敗した・・・。頭に血が上って気配に気がつかなかったなんで。
横を見るとのびた少年がひとり。
「どこから・・・??なんで・・・・??」
背丈が同じだから、同じ衝撃をくらったようだ。
「空から。呪われてるから」

私は端的に告げた。それ以上に答えを持たなかったからだ。










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